マスタリング
マスタリングはリリース前の最終処理です。体感上の音量、広い音色バランス、ダイナミクス、ステレオ感、ピーク安全性を整えます。
libsonare のデモでは、マスタリング処理は WebAssembly としてブラウザ内で実行されます。音源はブラウザでデコードされ、設定されたチェーンを通り、サーバーへアップロードされずに WAV として書き出されます。
何を調整するか
| 項目 | 目的 |
|---|---|
| ラウドネス | -14 LUFS や -16 LUFS などのターゲットに合わせる。 |
| トーン | 個別トラックを触らず、広い音色バランスを整える。 |
| ダイナミクス | 動きを残しながらピークと密度を制御する。 |
| ステレオ | モノラル互換性を崩さず、有効な広がりを保つ。 |
| ピーク | 変換後や配信再生でのクリップを避ける。 |
クイックマスターはプリセット中心、Studio はコンプレッサーのスレッショルド・Air バンド量・ステレオ幅・リミッターシーリング・ルックアヘッドなどを直接調整するモードです。
処理チェーン
ブラウザデモの UI は少数の音楽的な判断に整理していますが、レンダリング自体は決定的な DSP 経路として実行されます。
各パラメータを細かいページへ分けず、以下の機能群ガイドで実装上の詳細までまとめています。
実装メモ
チェーンは、補正系から最終納品系へ進む順序にしています。
| 段階 | その位置に置く理由 |
|---|---|
| リペアとインプットゲイン | クリック、ノイズ、DC オフセット、入力レベル不足は後段の検出器を誤らせるため |
| 大まかなトーン整形 | コンプレッサーが、最終的に聴かせる音色バランスへ反応するようにするため |
| ステレオ処理 | 広がりがピーク関係やモノラル互換性を変えるため、リミッターとメーターがその影響を見られるようにするため |
最終ラウドネスステージは単純なゲインノブではありません。Integrated LUFS はレンダリング後の素材に対して測定し、True Peak はオーバーサンプリングされた信号経路で確認し、リミッターのシーリングは別の安全制約として残します。これらが衝突する場合は、LUFS ターゲットよりピーク安全性を優先します。そうしないと、LUFS だけは合っていてもコーデック変換後にクリップするマスターになってしまいます。
関連: LUFS, True Peak, A/B 比較, ブラウザ内ローカル処理, マスタリング実装